αJunoのVCF/VCAチップを交換

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実験用にと思って入手してあったαJuno-2のジャンク2台を使って、VCF/VCAチップのIR3R05を交換して正常品を1台製作しました。

2台とも、調べてみると6つの音源のうち1つだけがおかしいことが判りました。

1台目は、1つの音源だけ、波形の上半分(+の領域)が出力されません。
上の写真のように、鋸波を鳴らすと富士山のように頂上が消失した波形になります。
波形の片側だけクリップしたような感じです。

そのため、フィルタをかけた音色でも妙な高域成分が残ってしまいます。
もちろん音量もこの音源だけ下がってしまいます。

2台目は、1つの音源がまったく音が出ません。音色によってはアタックなどのプツッという音だけが聞こえるので、VCA部分は正常だがそれ以前が異常なのだと思われました。

信号を追ってみると、IR3R05への入力までは正しく信号が来ており、さらに調べると1段目のフィルタの出力(以前の記事のC2)までは正常ですがC3以降は音が出力されていませんでした。

というわけで、2台ともIR3R05のチップ故障のようでした。
Juno-106に比べるとαJunoは故障しにくい、ともっぱらの評価なのですが、それでもこのVCF/VCAチップは比較的故障しやすいパーツのようです。

2台目のほうがIR3R05以外の部分の状態は良かったので、1台目のジャンクからIR3R05を一つはずして2台目の音の出ないIR3R05と交換することにしました。

プリント基板からのパーツ取り外しは面倒なものですが、今回は強い味方を導入しました。
その名も「はんだシュッ太郎」です。

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ポンプ式のはんだ吸い取り器ですが、はんだごてと一体化しており、はんだを溶かしながら吸い取ることができます。
通常のはんだごてと違い、コテ先がストローのようになっています。
これでハンダを溶かしながらチューッと吸い取るわけですね。

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実際に使うときは、図のようにリード線にコテの穴をかぶせるように当てて、リード線の周囲からはんだを吸い取ります。

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これは実に強力です。
チップはごく簡単に外せました。
4000円以上する高い工具なので悩みましたが、時間の節約および部品や基板のダメージ軽減を考えると、買ってよかったと思いました。

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交換後はきちんと6音出るようになりました。
ちなみにαJunoの動作品はオークションで1万円程度で入手できるので、最初から動作品を買うほうがお得です。

コメント

  1. unknown より:

    こんにちは。写真に写ってるオシロはシンセのトラブルシューティング、調整全般に使えますか?初心者でも使える手ごろなオシロ探してます。ありがとうございます!

  2. boochow より:

    そうですねえ、使い方次第ですね。
    数KHzまでの信号の波形を確認するのには十分使えます。一方、デジタル信号については、昔のシンセだとしても周波数が高すぎて全く扱えないです。
    また、測定という意味では、精度を調べたことはありませんが正確さはあまり期待できないと思います。
    初心者の方ということですから、値段分の価値は十分あると思いますよ。
    https://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-12972

  3. unknown より:

    ありがとうございます!analog discoveryなら昔のシンセのデジタル信号見れますか?
    ちょっと値段が高いですけど面白そうですね!使いこなせるようになれるか自信ないですけど 笑
    実は自分もalphajuno2台持っており、メンテナンスで色いろしらべていたら、こちらにたどり着きました。とても良く書かれたページで、楽しく読ませていただきました!ありがとうございます!

  4. boochow より:

    Analog Discoveryでも一応見られますが、今だったらRIGOL DS1102Z-Eのような安価なオシロを買うほうがコストパフォーマンスは良いと思いますよ。あるいはもうちょっと高くなりますがSiglent SDS1202X-Eも良さそうです。