2017年07月09日

αJunoのLCDバックライトを交換

alpha-juno-lcd1.jpg

私が手に入れたαJunoは、LCDのバックライトが点灯しません。
このLCDはSHARP製のLM16155Bというモジュールで、バックライトにはELパネルが使われています。
調べてみると、EL素子は使用していなくても経年劣化で発光しなくなっていくそうです。
αJunoは発売から30年以上経っていますから、おそらくバックライトはほぼ全滅ではないでしょうか。
alpha-juno-lcd2.jpg

αJunoに限らず、古いシンセサイザーや家電のLCDはほぼ全てELパネルが使われていますので、交換を試みている人も結構多いようです。

バックライト交換2:マイアミ君の雑記帳:So-netブログ

節約生活:YAMAHA TG77 液晶バックライト交換&タクトスイッチ交換&内蔵電池ホルダー化 - livedoor Blog(ブログ)

Remplacement backlight du ROLAND juno 2

交換自体はそれほど難しくは無さそうなので、私も修理してみることにしました。
交換用のELは、自分でELシートを買ってきて電極を取り付け、ラミネータで封印すれば作ることができるようです。
しかし、今回はネットで見つけたバックライト専門業者から完成品を購入してみました。
その名もbacklight4youという、そのものズバリの名前で、ドイツのネットショップです。
LM16155に使用できるのはサイズが18mm×74mm(発光部分ではなくラミネートを含めた外形サイズ)のもので、発光色はホワイトブルーグリーンイエローから選択できます。
Juno-2では、元の発光色はホワイトらしかったので、ホワイトを選択してみました。

EL-Panel, pink-white, 18mm x 74mm, laminated - backlight4you

価格は送料を含めて15,99 EUR、約2000円というところです。
この値段なら、余ってしまう材料や手間のことを考えると、自作する場合と大した差は無さそうです。
届いたものはこちらです。
alpha-juno-lcd3.jpg

こちらは裏面です。
alpha-juno-lcd4.jpg


バックライトの交換には、液晶モジュールを取り外す必要があります。
モジュールはネジ4本でパネルに固定されていますが、取り外すのは容易です。
alpha-juno-lcd5.jpg

写真のように、モジュールには14ピンのFFCケーブルが接続されていますが、このケーブルは単に引っ張れば外れます。裏表を覚えておいてください。
右へ伸びている白・黒2本の線はEL用の電源です。
この部分は高圧ですので、電源が入っている状態で触ってはいけません。
この線も外したほうが作業が楽になりますが、今回は半田付けを2箇所やり直すだけなので、外さずに進めました。
alpha-juno-lcd6.jpg

上の写真は、LCDモジュールを横から見たところです。
中央の2本の電極がELパネルの電極です。
基板にはELパネル用のホールは無く、電極は基板の端を表から裏へ回りこむようにして接続されています。
従って、取り外すのも簡単です。
alpha-juno-lcd7.jpg

はんだ吸取器や、はんだ吸取線を使ってはんだを除去した状態です。
この状態で電極をはんだゴテで押せば簡単に外れます。
alpha-juno-lcd8.jpg

ELパネルはLCDの下に差し込まれているだけですので、電極が外れていれば、引っ張れば抜けます。
alpha-juno-lcd9.jpg

上が新しいELパネル、下が古いELパネルです。
alpha-juno-lcdc.jpg

新しいELパネルを挿入し、電極を折り曲げてはんだ付けすれば交換完了です。
alpha-juno-lcda.jpg
alpha-juno-lcdb.jpg

ちなみに、添付の説明書には「はんだ付けの際には、電極が過熱しないように放熱させること。銅のコインを電極に当てておくと良い」みたいなことが書かれていました。(やりませんでしたが)
posted by boochow at 00:28| Comment(0) | Synthesizer | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月02日

Roland αJunoのHPFについて

αJuno-2のユーザマニュアルによると、αJunoの音源のブロック図は以下のようになっています。
HPFがDCOとVCFの間に挟まっています。
これは、αJunoの1つ前の機種であるJuno-106の操作パネルのイメージそのままです。

alpha-juno-2-diagram.gif
juno-106.jpg

ですが、整備用マニュアルに載っているブロック図によると、実際の構成はちょっと違っていて、HPFはVCAとChorusの間に挟まります。

ブロック図全体は以下です。
HPFは中央右端にあります。
alpha-juno-2-diagram2.gif

図の右上のあたりを拡大すると以下のようになっています。
alpha-juno-2-diagram3.gif


図から分かるように、αJunoは6音ポリフォニックですが、HPFは1つしかありません。
効果は6音を足し合わせた後にかかります。
当然、モジュレーションをかけることができません。

図の下方から「A,B」という2本の制御信号がHPFへ入っていますが、これは2ビットの情報で、HPFの設定を4種類の中から選択することができます。


JunoシリーズのHPFで面白いのは、HPFといいつつ「低音ブースト」の機能があることです。
HPFの設定値は「0, 1, 2, 3」から選択するのですが、0を選ぶとHPFではなく低音ブーストになり、1を選ぶとバイパスになります。
切り替え式のアイソレーターみたいな感じですね。

このあたり、開発者の方の意図は以下のようなことだったそうです。

1オシレーターでいかに音に厚みを出すかというのが、JUNOシリーズ開発の一番の目標でしたね。そのためにコーラス機能を付加したり、ハイパス・フィルターがかかっていない状態だとローが持ち上がる仕様になっていたりといろいろ工夫をしています。ですからハイパス・フィルターを0から1つ上げた設定が、実はフラットなんですよ(笑)。

Roland - Roland Boutique 製品開発ストーリー #2


このHPFの実際の回路も、整備マニュアルに掲載されています。
下図のような回路です。
alpha-juno-2-hpf.gif

図では右側のオペアンプ部分にHPFとありますが、この部分は単なるアンプです。
C10、R18はローパスフィルタを構成していますが、カットオフ周波数を計算すると(f=1/(2πRC))33KHzくらいになりますので、高周波ノイズをカットする目的と思われます。

実際のHPFは、4052の左側のコンデンサが担っており、コンデンサの切り替えは4052が行っています。
4052はアナログ信号のマルチプレクサが2つ入っています。
4つの入力[X0, X1, X2, X3]の中から、[A, B]の2ビットで指定された1つだけが、XCへ出力されます。
Y0〜Y3およびYCについても同様です。
セレクタ[A, B]は一組しかありませんので、X系統とY系統は同じ番号の信号が選択されます。

この4052周辺の回路を模式的に書いてみると、下図のようになります。
alpha-juno-hpf2.gif

4つの設定のそれぞれの場合の信号の流れ方は、以下のようになります。

[3]: 入力信号→コンデンサ(0.0047uF)→X3→XC→出力信号

[2]: 入力信号→コンデンサ(0.015uF)→X2→XC→出力信号

[1]: 入力信号→X1→XC→出力信号

[0]: (入力信号→X0→XC)+(入力信号→Y0→YC)−(YC→コンデンサ(0.1uF))→出力信号

コンデンサを信号が通過するときは、ある周波数以下の信号が通りにくくなる効果があります。
この周波数は、容量が小さいほど高くなります。
従って、[2]より[3]のほうが、より高い周波数の信号だけが通過できることになります。

一方、[0]の場合は、逆にコンデンサを通過できる高い周波数の信号はアースへ捨てられ、コンデンサ(0.1uF)を通過できなかった低い周波数の信号が出力信号へ加算されますので、ロー・ブーストの効果が出てくることになります。

普通なら3段階のHPFにしてしまいそうなところを、ローブースト+2段階のHPFにしたところがミソですね。
RolandのJunoシリーズはもともと普及価格帯をターゲットにした製品ですので、コストをかけられなかった中で少ないパーツで工夫して音のバリエーションを増やそうとした苦労が偲ばれます。

ちなみに、前機種のJuno-106では、HPFの回路は以下のようになっていました。
juno106-hpf.gif

コンデンサを切り替えてHPFを構成しているところは変わりませんが、マルチプレクサは1系統のみで、αJunoとは逆に入力信号がYCへ来ています。
また、高域をカットした信号がオペアンプによる低音増幅回路(たぶん)に入力されています。
これによって原信号よりもローが増幅された信号が原信号に加算されていると思われます。
αJunoでは低音増幅回路はありませんが、残り1系統のマルチプレクサをうまく使って増幅効果を出し、オペアンプ1/2個分を節約しています。

なお、以下の記事によると、Juno-106の前機種であるJuno-60では、HPF回路はローブーストが無く、3段階(C=0.022uF、0.01uF、0.0047uF)の切り替え式になっていたようです。

Sequence 15: Why does the Juno-60 sound different from the Juno-106?

ちなみにJuno-60のさらに前、Junoシリーズの1号機であるJuno-6では、HPFはスライダによる無段階設定になっています。Juno-60で音色をメモリーできるようになり、その際にHPFの設定を2bit4段階で記録することにしたのではないかと思います。

最後に、αJuno-2でのHPF周辺の基板パターンと実装イメージも載せておきます。
コンデンサは音質に直接影響するパーツですが、HPFに使われているのはフィルムコンデンサ(マイラーコンデンサ)のようです。

基板パターンまで整備マニュアルに載っているのはすごいですね。
KORGのmonotronシリーズが回路図を公開して注目を集めたことがありましたが、入手できる情報の面白さという意味ではαJuno-2のほうが上かもしれません。
alpha-juno-2-hpf3.jpg
alpha-juno-hpf4.gif
posted by boochow at 15:27| Comment(0) | Synthesizer | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Roland αJuno-2について

ajuno2.jpg


最近、1985年頃に発売されたローランドのシンセサイザー「αJuno-2」を入手して遊んでいます。
もちろん中古ですが、この機種はアナログのポリフォニックシンセサイザーとしては安く流通しており、1万円ほどで入手できました。

古いシンセサイザーは、メーカーが作成した整備用マニュアルを始め、いろいろな情報がネット上に出回っていますので、故障さえしていなければお買い得とも言えます。
αJuno-2については、以下のサイトに膨大な情報がまとまっています。
(MKS-50はαJunoの音源モジュール版です。)

ROLAND MKS-50 SYNTH INFO

このサイトに「Alpha Juno-2 Service Notes (v.86-1)」という資料が掲載されていますが、これが整備用マニュアルです。
ありがたいことに英語、日本語の両方で記載されています。

これから時々、このマニュアルを読んでわかったことなどをメモ的に書いていきたいと思います。

posted by boochow at 13:24| Comment(0) | Synthesizer | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月12日

Dave Smith Instruments Mopho Keyboardにノイズ対策コンデンサを付ける改造

私が持っているシンセサイザに米国Dave Smith InstrumentsのMopho Keyboardがあります。
こんなのです。

モノラルのアナログシンセで、いい音です。
私が持っているのはキーボード一体型ですが、音源モジュール版もあります。

ネットを見ていたら、たまたまこのMophoの音質を改善するという記事を見つけました。

The Mopho's pulse wave... - Gearslutz Pro Audio Community

MUFF WIGGLER :: View topic - Got a Mopho Keyboard and want it to sound better?

改善される問題点は、波形がパルス波の場合に音質がノイジーで、特にパルス幅の設定が最大値のときにノイズがひどい、というものです。
私のMopho Keyboardでも確かに同様の現象が起きていました。
パルス幅が99のとき、かなりノイジーです。

解決策としてDACの電源ラインに10μFのコンデンサを付ける方法が紹介されています。
DACの基準電圧に電源ラインからのノイズが載っているので、その対策だそうです。
この対策でパルス波の音質自体も良くなるということなので、やってみることにしました。

コンデンサはR71に並列に取り付けます。
R71の場所はメインボードほぼ中央の下部のほう、矢印の位置です。
r71.jpg

取り付けるコンデンサは、上記の記事ではタンタルコンデンサを使っていますが、電解コンデンサでもいいそうです。
You'll need one 10uF, 16V tantalum capacitor. You can use a decent quality electrolytic if you wish, and in that case, a 10uF, 25V will suffice.


せっかく手間をかけるので、最高級のオーディオ用電解コンデンサを使うことにしました。
最高級といっても、1個41円でしたが・・・。
nichicon-muse-kz.jpg

ニチコンの「Muse KZ」シリーズです。
秋葉原にある海神無線で買いました。
10uFのものは耐圧が100Vのものしかなかったので、やや大きめです。

これをこの位置に取り付けます。
電解コンデンサは極性がありますが、記事によると「キーボード正面側から見て左がプラス。R71の「1」に近いほうがマイナス」ということです。

r71-2.jpg


取り付けた様子です。
だいぶ大きいので、運搬などで振動を加えると取れてしまう可能性が高いです。
私の場合は、自宅で使うだけなのであまり心配していませんが。

r71-3.jpg


取り付けた後の音です。
私のMopho Keyboardはパルス幅が99でも音は出ますが、ノイズは乗らなくなりました。

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2017年02月25日

Volca Beats Snare Mod(改造)その2

beats.jpg


一年あまり前に、Volca Beatsのスネアの改造を行いました。

Volca Beats Snare Mod(改造): 楽しくやろう。

その続編、というか、更なる検討を行っているページを見つけたので、私も試してみました。

Korg Volca Beats Snare

この方はVolca Beatsのスネア部分の回路図を起こした上で、考察を加えて改造を行っています。

前回行った改造は、取り付けられていないC78を追加するというものでした。
今回の改造は、すでに取り付けられているR134とR183の抵抗を別の値へ変更するものです。
R134の効果については、前回の改造の元ネタのビデオでも紹介されていました。

・R134を10K→1.5K → ノイズ成分の音量増大+明るさ増大
・R183を2.2K→10K → ピッチを低く(250〜570Hz → 160〜240Hz)

という効果があります。

beats2.jpg


こちらが、前回の改造の状態の音。

modified1.wav

そして、こちらが今回の改造の後の音です。

modified2.wav

どちらもピッチは一番低くしてあります。
変化の内容は上記の通りですが、音程成分とノイズ成分の一体感が増している感じがします。


改造の効果はいい感じなのですが、作業はちょっと大変でした。
交換するチップ抵抗のサイズは、前回と同じ1.6mm×0.8mmですが、場所が狭いし、すでに取り付けられている部品を取り外さなければなりません。

R134は周りをチップ部品に囲まれています。奥のほうの「103」と書かれているのがR134です。
r134.jpg


R183(「222」と書かれているもの)は周囲にパーツが少ないので、比較的外しやすそうです。
r183.jpg


チップ部品の取り外し方は、こんなビデオがありました。

追いハンダをして、チップの両側の端子を一度に熱することで外しています。
が、狭い場所だとこの手を使うのは苦しいです。

それでも、R183はコテを寝かせてチップの両端を一度に熱することで、割と簡単に外せました。
r183-2.jpg


跡地に新しいチップ抵抗をつけて終わりです。
r183-3.jpg


R134のほうは、試行錯誤しているうちに偶然外すことができました。
r134-2.jpg


こちらが新しく付けるチップ抵抗です。上下に写っているのはピンセットです。
r134-3.jpg


なんとか取り付けることができました。
r134-4.jpg


この改造は、適切な工具と、視力と器用さが要求されます。
チップ抵抗は、AmazonでHiletGoという業者から、25種類×20個のチップ抵抗詰め合わせを送料込み260円で購入できます。
商品名は「HiLetgo 0603 SMD 抵抗バッグ 620R-12K 5% 25種類 各20pcs 合計500pcs [並行輸入品] 」です。

最後に、ほかのパートと一緒に鳴らしてみたものを載せておきます。

sample.wav

以前はスネアの音が高くて、「どんだけ小さいスネアなんだよ!」と言いたくなりましたが、これならOKだと思います。
posted by boochow at 01:13| Comment(0) | Synthesizer | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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