2017年12月16日

STM32のハードウェアIDからMACアドレスを生成する

先日作成したNUCLEO-F767ZIとMicroPython用のEthernetドライバですが、MACアドレスがソースコードにハードコーディングされていました。
これはCubeMX付属のサンプルがそうなっていたのをそのまま使ってしまっているからですが、これでは1つのネットワークに1台のMicroPythonマシンしか接続できないので、実用上は問題があります。

そこで、STM32がもともと持っている96bitのハードウェアIDからMACアドレスを生成しようと考えました。

MACアドレスは48bitですが、最初の24bitはベンダごとに異なる固定の値(ベンダーID)です。
ベンダーIDには、IPアドレス同様にプライベートアドレスがあり、1バイト目のbit 1が1ならプライベートアドレスです。具体的には「X2:XX:XX、X6:XX:XX、XA:XX:XX、XE:XX:XX」になります。

virtualization - What range of MAC addresses can I safely use for my virtual machines? - Server Fault

プライベートアドレスのどれを使ってもいいのですが、CubeMXのv1.8.1のサンプルでは「02:01:00」が使用されていました。
これはそのまま残すことにし、残り24bitをハードウェアIDから生成します。

ハードウェアIDは96bitですが、ランダムな値ではなく、チップを製造する際のある種の「通し番号」になっています。そのフォーマットは以下の資料に記載されていますが、
「ロット番号」「ウエハー番号」「ウエハー上での座標値(X, Y)」
でそれぞれ32bitずつ割り当てられているようです。

en.STM32L4_System_eSign.pdf

ハードウェアIDは、MicroPythonからは「machine.info()」で取得することができる一連の情報に含まれています。先日購入したNUCLEO-F767ZIでは
>>> import machine
>>> machine.info()
ID=33001f00:07513635:32333134

となり、もっと以前に購入したNUCLEO-F401REでは
>>> import machine
>>> machine.info()
ID=33005100:15513432:36363539

となりました。

上のPDF資料にもありますが、ハードウェアIDは全てのビットが使われているわけではなく、値の範囲が決まっているパラメータもあるので、一部のビットだけを抜き出して使うのが良さそうです。
上の2つの値を見比べただけでも、(違う型番のCPUで購入時期も異なるのに)
・1バイト目が一致(33)
・6バイト目が一致(51)
・2バイト目と4バイト目が0
・7バイト目〜12バイト目は上位8ビットが全て3
といったことに気づきます。
上位8ビットが3というのは、おそらく数値をAsciiコードで表している(0=0x30、9=0x39)からだと思われます。
つまり、このハードウェアIDが文字列だと思って眺めてみると
767ZI: "3...", ".Q65", "2314"
401RE: "3.Q.", ".Q42", "6659"
となるわけです。

乱数に使うわけではないので、規則性そのものは問題にはならないのですが、複数のボードで一致する可能性が高い部分はMACアドレスには使わないほうが望ましいと考えられます。
ということであれこれ考えてみたのですが、頻繁に行う計算でもありませんし、この96ビットからハッシュ値を計算してしまうのが手っ取り早いという結論になりました。

ハッシュ値としては24bitあればいいので、軽量なハッシュアルゴリズムであるFNV-1(→Wikipediaを参照)を用いて計算した32bitのハッシュ値の下位24bitを使うことにしました。
Pythonで書くとこんな感じになります。埋め込まれている「0x811c9dc5」と「16777619」はそれぞれFNV_offset_basisとFNV_primeになります(上記のWikipediaを参照してください)。


これで先に挙げた2つのハードウェアIDからMACアドレスを計算すると、それぞれ以下のようになりました。

33001f00:07513635:32333134 → ec:f2:04
33005100:15513432:36363539 → 8c:4a:41
ラベル:MicroPython
posted by boochow at 16:22| Comment(0) | stm32 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月13日

NUCLEO-F767ZI ethernet driver for MicroPython

先日動作確認した、NUCLEO-F767ZI用Ethernetドライバを追加したMicroPythonを以下で公開しました。

https://github.com/boochow/micropython/tree/stm32-ethernet

ビルド手順は以下の通りです。(CROSS_COMPILE指定は各自の環境に合わせて変更してください)
git clone -b stm32-ethernet https://github.com/boochow/micropython.git
cd micropython
git submodule update --init
make -C mpy-cross
make -C ports/stm32 MICROPY_PY_ETH=RMII BOARD=NUCLEO_F767ZI CROSS_COMPILE=~/gcc-arm-none-eabi-5_4-2016q3/bin/arm-none-eabi-

ボード用のHAL設定ファイル(boards/NUCLEO_F767ZI/stm32f7xx_hal_conf.h)やリンカスクリプト(boards/stm32f767.ld)を修正していますので、NUCLEO-F767ZI以外のボードでは動作しません。
ですが、同じ構成(CPUがSTM32F7、PHYがLAN8742AでCPUとのインタフェースがRMII)であれば、同様の修正を施せば動作するのではないかと思います。

同じ構成になっていると思われるボードはNUCLEO-F746ZG, NUCLEO-H743ZI, STM32F746G-DISCOですが、STM32F746G-DISCOは使用しているGPIOが違う(TXD1がPG14)ため、ethernetif.c内の初期化コードを修正する必要があります。

ちなみに現状のコードではUM1974に記載されているGPIOを使っています。
記載は以下の通りです。

nucleo-ether-config.png
posted by boochow at 01:09| Comment(0) | stm32 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月09日

NUCLEO-F767ZIのMicroPython用Ethernetドライバが動きました

ether02.png

先日着手したNUCLEO-F767ZIのオンボードイーサネットをMicroPythonで動かすためのドライバですが、ようやく動きました。
少しコードを整理したら公開する予定です。
途中で少しデバッグに苦労しましたが、基本的には自分のミスや知識不足が原因で、終わってみればあまり厄介なポイントは無かったように思います。

技術資料としてはUM1974が必須です。この資料のP28-29にEthernet周りのI/Oが記載されています。
CPUにはMAC層は内蔵されていますがPHYチップは外付けで、ドライバはCPUとPHYチップの結線およびPHYチップの仕様に従わなければなりません。もっとも、そのコード自体はSTM32CubeMXに付属するサンプルに含まれています(といってもサンプルは一つしか入っていないのですが)。今回もそのコードを参照しました。

また、TCP/IPとしてLwIPを使っていますので、その資料としてUM1713が有用です。LwIPそのものについての解説も付属しています。

この資料にあるとおり、LwIPにはRaw、NetConn、Socketという3種のAPIがあり、Raw以外の2つはスレッド機能を持つOSが必要となります。MicroPythonはLwIPをRaw APIで使用しています。(上記のSTM32CubeMX付属のサンプルはNetConnを使っています。)
LwIPをEthernetと接続するには、パケットが到着したかどうかをポーリングし、届いたパケットをLwIPに渡す処理を定期的に行う必要がありますが、このあたりは既にWIZNet用ドライバのお手本があります。

ですので、結局は初期化とパケットの読み書きを、STM32CubeMXのサンプルを参考に書くだけです。
・・・という見通しは実は初期段階から見えていたのですが、実際に着手してみると、ちゃんと動くようになるまで何日もかかりました。
やはりマイコンはデバッグがなかなかしんどいなあとあらためて思いました。
ラベル:MicroPython
posted by boochow at 23:03| Comment(0) | stm32 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月01日

NUCLEO-F767ZIのMicroPython用Ethernetドライバ

ether01.png

昨日はサンプルアプリのWebサーバを動かしてみたNUCLEO-F767ZIですが、やはりMicroPythonからインターネット接続できるようにしたいところです。

しかし、以前も探してみたことがあったのですが、MicroPythonでNUCLEO-F767ZIのオンボードイーサネットを使うドライバは、現時点ではまだ無いようです。
だめもとで、先日のWIZnet5K+LwIPのドライバと、STM32CubeMXに付属のサンプルコードをを参考に、自分で作ってみることにしました。

中身がまだよく分かっていませんが、これらのコードを適当に切り貼りした結果、どうやらnetworkモジュールの下にEthernetドライバクラスを追加することはできました。
といっても、オブジェクトが生成できただけで、まだまともに動いてはいないのですが。
ラベル:MicroPython
posted by boochow at 00:57| Comment(0) | stm32 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月30日

NUCLEO-F767ZIでWebサーバ


NUCLEO-F767ZIのEthernet端子はMicroPythonからは使えないので、テストのために付属のアプリケーションを動かしてみました。

以前ちょっとだけ使ってみたSTM32CubeMXと一緒に配布されているものです。
C:\Users\ユーザ名\STM32Cube\Repository\STM32Cube_FW_F7_V1.8.0\Projects\STM32F767ZI-Nucleo\Applications\LwIP\LwIP_HTTP_Server_Netconn_RTOS\SW4STM32

に入っています。(入っていない場合は、CubeMXのメニューのHelp→Install New Librariesから、最新の「Firmware Package for Family STM32F7」を選択してインストールします。)
これを、SW4STM32のImport...からGeneral→Existing Projects into Workspaceでワークスペースに追加してビルドします。

デフォルトではDHCPで動作しますので、動作しているIPアドレスのアタリをつける必要があります。

とりあえずEthernetが正常に動作していることは確認できました。
STM32F7-http-server.png


STM32CubeMXですが、このNUCLEO-F767ZIのように多機能なボードになってくると、初期設定を行うコードを自動生成してくれるのはそれなりに意味はあるかもしれません。
先日のRaspberry Piのベアメタルプログラミングでも、GPIOのモードを適切に設定するにはマニュアルを調べなければなりませんでしたが、そのへんがGUIで選択していくだけで済んでしまうのは、慣れると便利な気がします。
posted by boochow at 01:07| Comment(0) | stm32 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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