LPC1768用イーサネット接続キット

mbed_ether.jpg

最近、まとまった時間がなかなか取れなくて停滞気味です。
今日は少しの時間で、以前購入したままになっていたLPC1768用のEthernet接続キットを組み立てました。

mbed LPC1768用イーサネット接続キット – スイッチサイエンス

以前も書いたとおり、mbedはセキュアなIoTをやるには最低限必要なスペックかなと思っていますので、そのうちネット接続も試したいところです。

とはいえ、現時点ではすでにLPC1768よりもESP32のほうがスペック的には上ですね。
LPC1768は4年前のボードなので(私が購入したのも2年半前です)、当たり前ではありますが。

ARMの開発環境「MDK」と「µVision」でmbedのデバッグを試してみた

夏休みもそろそろ終わりですが、最後にARMの開発ツール「MDK」とそのデバッガ「µVision」を試してみました。

ARM(が買収したKeil)はµVisionとコンパイラやライブラリその他もろもろのツールを合わせて「MDK Microcontroller Development Kit」として提供しているようです。
mbedのクラウド上で作成したコードも、MDK用にエクスポートすれば、ローカルでデバッグすることができます。

このとき、ボードがデバッグ用のインタフェース「CMSIS-DAP」をサポートしていれば、ボード上でコードを実行しながらステップ実行やトレースなどの操作を行うことができます。
幸い、私のボード「mbed LPC1768」はCMSIS-DAP対応のファームウェアが提供されていましたので、このデバッグ機能を試用してみました。

既に先人のレポートがネット上にありましたので、それを参照しつつ進めました。
参考にしたのは以下の2つです。

μVision4でデバッグ! | mbed
mbed LPC1768をMDK-ARMでデバッグ – Qiita

1つ目の記事はやや古く、2012年9月の日付です。文中ではµVisionのバージョンが4になっていますが、現在はバージョン5が提供されています。
2つめの記事は2016年1月のもので、1つ目の記事を参照しています。バージョン5を使う場合のはまりどころが記載されており助かりました。

やることは、大まかに言えば

MDKのダウンロード&インストール
MDK v4 Legacy Support for Cortex-M Devicesのダウンロード&インストール
mbed LPC1768のファームウェアをアップデート

が準備で、そのあと

・mbed用に書いたコードをローカル環境へエクスポート
・MDKのデバッガの設定
・コンパイルして実行

という流れになります。

準備のところは飛ばします。ダウンロードしてインストールするだけですので・・・
なお、MDKをダウンロードするとARMからMDKの日本語スタートアップガイドへのリンクが送られてきますので、メールアドレスはきちんと入力しましょう。

インストールができたら、まずはmbedのファイルをローカルへエクスポートします。
対象はとりあえず先日動作確認したLチカにしました。

右クリックメニューから、プログラムのエクスポートを選びます。

uvision01.png

ボードと開発環境の選択が出ます。
開発環境としてKeil uVision4を選んでおきます。
(後述しますが実際にはUVision5でも大丈夫なようです。)

uvision02.png

ダウンロードしたZIPファイルを展開すると、こんな感じになっています。

uvision03.png

.uvprojファイルをダブルクリックするとMDKが立ち上がります。

MDK v4 Legacy Support for Cortex-M Devicesをインストールしていないと、下図のようなダイアログが出ますのでインストールしましょう。

uvision04.png

プロジェクトを開いた画面はこのようになっています。
普通のIDEですね。

uvision05.png

まず、「Options for target…」をクリックします。

uvision06.png

そして、Debugタブの「Settings…」ボタンからデバッガの詳細設定に入ります。

uvision06b.png

詳細設定画面で、アダプタを「MBED CMSIS-DAP」に指定します。
また、Debugの設定で「HW RESET」を選び、「Stop after bootloader」をオンにします。

uvision10.png

これで準備完了です。
プロジェクトのリビルドボタンを押してビルドします。

uvision07.png

プロジェクトフォルダの中に.binファイルができますので、これをmbedデバイスのフォルダへコピーします。

デバッグは、ドコモのロゴを思い出させる虫眼鏡のアイコンをクリックします。

uvision08.png

ここで、上で説明した「Stop after bootloader」をオンにしていないと、「The CoreSight debug unit in the target device does not react.」とエラーが出てデバッグが終了してしまいます。
私の環境だけかもしれませんが・・・。

uvision09.png

デバッガが起動すればこんな画面が出てきます。
1行ずつのステップ実行などもできます。

uvision11.png

とりあえず動作までは確認できました。
無償版ではオブジェクトサイズが32KBまでという制限があるので、あまり大きなものは作れませんが、趣味で使うなら十分な気がします。

以下オマケです。

mbedからのエクスポートの際、UVision5も選択することができますので、やってみました。

uvision13.png

プロジェクトファイルを開くと、「LPC1700のパッケージが必要」とメッセージが出るので、インストールします。

uvision12.png

あとは基本的に同じです。
デバッガの設定も忘れずに行います。

mbedの使いどころはIoT+TLS?

昨日ためしに動かしてみたmbedですが、ArduinoやESP8266と比べてどう使うのがいいのか、まだつかめていません。
mbedのハードウェアはクロックが100MHzクラス、RAMが数十KBと、Arduinoよりも1桁上のレンジですが、Raspberry Piよりも1桁下のレンジです。
mbedならできそうだけどArduinoだと難しい処理、というと、やはりネットワーク系でしょうか。

LPC1768CPU.jpg

Ethernetパケットは1.5KBありますから、Arduinoで扱うのはやや無理があります。
ESP8266は何とかTCP/IPが動作しますが、現時点ではSSL/TLSは古いTLS1.1までしかサポートされていません

AmazonのAWS IoTはTLS1.2を必須としています。
製品寿命がPCよりも長いと予想されるIoTですから、現時点で既に過去のものになっている規格は推奨できないのも頷けます。

Security and Identity for AWS IoT – AWS IoT

その点、mbedOSではARMが買収した「PolarSSL」がmbed用に提供されており、これはTLS1.2をサポートしています

SSL Library mbed TLS / PolarSSL: Download for free or buy a commercial license

つまりセキュリティをちゃんと考えた組み込みシステムのためのプラットホームを選定するなら、mbedは一応HTTPSが安全に使えるらしいので有力候補になりそう、ということです。
(他の候補の筆頭はLinuxになるでしょう。その場合は電力供給が課題になりますが・・・)

ただ、mbedOSのSSLのサンプルを見ると、サポートしているボードは現時点「FRDM-K64F」だけのようです。
mbedOSのページにある例題をLPC1768で試してみたところ、「authcrypt」は動いたものの「benchmark」は動きませんでした。
ですので、mbedならmbed-TLSが必ず使える、というわけではなさそうです。

mbed-os-example-tls/README.md at master · ARMmbed/mbed-os-example-tls · GitHub

結局、趣味でIoTというかネット接続機能があるデバイスを作ろうとすると、セキュリティを考慮するならTLSが必要なのでmbedかRaspberry Pi、そこまでセキュリティは重視しないというのであればお手軽にESP8266、となりそうです。
IntelもGalileoとかEdisonとか出していますが、Galileoは生産終了だしEdisonはちょっと価格がこなれてこないですね。

AppleやGoogleがHTTPSのデフォルト化を強力に推進していますので、世の中はなんとなくそちらへ向かいつつあります。しかし、安かろう悪かろうが勝つ場合もあるのがこの世界ですので、まだまだ予断を許しません。