Arduino(4) ブロック崩しを作ってみる(1)

Arduinoでカラー液晶に表示ができるようになったので、ゲームを作ってみたいと思います。

といっても、ArduinoはCPUパワーもありませんし、描画はLCDのコントローラ任せなので、こちらも期待できません。
というわけで、比較的描画量の少ないゲームとして、「ブロック崩し」を選んでみました。

Arduinoのプログラミング言語は「Arduino言語」と呼ばれていますが、実態はほぼC言語で、それにArduino特有のお約束事がついている感じです。

もっとも基本的なお約束は、プログラム(Arduinoがスケッチと呼んでいるもの)は2つの関数setupとloopを定義するものである、ということです。
setup()が最初に1回呼ばれ、そのあとloop()が繰り返し呼び出されます。
(従って、通常loop()自体はループ1回分の処理しか行いません。)

基本的な事柄は

Arduino 日本語リファレンス

を見てください。
setupとloopと一般的なC言語におけるmain関数との関係については

Studio Gyokimae

が参考になります。

今回は、まずはボールを画面の中で動かすところを作ってみます。

IDEのメニューから「新規ファイル」を選ぶと、以下のような雛形が現れます。

void setup() {
// put your setup code here, to run once:

}

void loop() {
// put your main code here, to run repeatedly:

}

この二つの関数を埋めればよいわけですが、今回は、setup()で必要な処理はLCDと変数の初期化だけです。
LCDの初期化は前回のgraphicstestなどのサンプルスケッチのsetup()をそのまま流用します。

loop()では、ボールが画面の端へ行ったら跳ね返るようにします。
ゲームではおなじみの処理ですね。
ついでですので、ラケットも描いて、ラケットはボールの位置に自動追従するようにしてみましょう。

プログラムはこんな感じです。
青い部分はサンプルスケッチからコピーしてきている部分です。
赤い部分がボールの処理、ピンクの部分はラケットの処理の部分です。


#include     // Core graphics library
#include  // Hardware-specific library

#define LCD_CS A3
#define LCD_CD A2
#define LCD_WR A1
#define LCD_RD A0
// optional
#define LCD_RESET A4

// Assign human-readable names to some common 16-bit color values:
#define BLACK   0x0000
#define BLUE    0x001F
#define RED     0xF800
#define GREEN   0x07E0
#define CYAN    0x07FF
#define MAGENTA 0xF81F
#define YELLOW  0xFFE0
#define WHITE   0xFFFF

Adafruit_TFTLCD tft(LCD_CS, LCD_CD, LCD_WR, LCD_RD, LCD_RESET);

#define RACKETSIZE 8
#define RACKETLINE 37
#define SCRNWIDTH 30
#define SCRNHEIGHT 40

typedef struct
{
uint8_t x,y;
int8_t vx,vy;
} Ball;

#define BallInit(ball) ball = {.x = SCRNWIDTH-1, .y = SCRNHEIGHT-SCRNWIDTH, .vx = -1, .vy = 1}
#define BallDraw(ball,tft,color) tft.fillRect(ball.x<<3, ball.y<<3, 8, 8, color)
#define RacketDraw(racket,tft,color) tft.fillRect(racket<<3, (RACKETLINE+1)<<3, RACKETSIZE<<3, 8, color)

#define MAX(a,b)  (((a) > (b)) ? (a) : (b))
#define MIN(a,b)  (((a) < (b)) ? (a) : (b))

int16_t racket=(SCRNWIDTH-RACKETSIZE)>>1;
Ball ball;

void setup(void) {
  tft.reset();
uint16_t identifier = tft.readID();
tft.begin(identifier);
tft.fillScreen(BLACK);

  BallInit(ball);
}


void loop()
{
  BallDraw(ball, tft, BLACK);
ball.x += ball.vx;
if (ball.x >= SCRNWIDTH - 1 || ball.x < 1) { ball.vx = -ball.vx; } ball.y += ball.vy; if (ball.y == RACKETLINE) { if (ball.x >= racket && ball.x < racket+RACKETSIZE) { ball.vy = -ball.vy; } } if (ball.y == 0) { ball.vy = -ball.vy; } if (ball.y > SCRNHEIGHT) {
BallInit(ball);
}
BallDraw(ball, tft, YELLOW);

  RacketDraw(racket,tft,BLACK);
racket=(ball.x)-(RACKETSIZE>>1);
racket=MAX(0, racket);
racket=MIN(racket, SCRNWIDTH-RACKETSIZE);
RacketDraw(racket,tft,WHITE);

delay(16);
}

今回は全ての処理を8ドット単位で行うことにしました。
LCDは240×320ピクセルですが、これを30×40の画面として使うことになります。
このほうが、将来いろいろな解像度の液晶に移植しやすいのではないかと考えたためです。

そのため、座標系は画面の左上(USBジャックのある側が上)を原点として、

X軸:0..29
Y軸:0..39

となります。

ボールの変数は、位置を表す(x,y)、それに水平・垂直方向の移動量を現す(vx,vy)が必要です。
Arduino言語はC言語ですので、構造体が使えます。
ということでBall型を定義しました。

しかし残念なことに、「構造体typedefした型を引数とする関数」はスケッチの中では定義できません。(typedefせずにstructのままなら引数で渡せます。)
これを行うには、構造体をtypedefを別ファイルで定義するか、typedef後に関数のプロトタイプを明示的に宣言する(→解説必要があるようです。
そこで、とりあえず初期化と描画の2つの処理を、関数ではなくマクロとして定義しました。

なお、Arduino言語ではクラス定義も(一応)行えますが、今回は使っていません。
クラス定義も構造体同様に「ライブラリ」として、ファイルを分けて定義しなければならないためです。

構造体とそれを扱う関数、あるいはクラス定義、については別ファイル(.c、.cpp、.hの拡張子を持つファイル)でライブラリとして定義し、スケッチからはインクルードして使用せよというのがArduinoの思想のようです。

最後の delay関数は、msec単位でのウエイトを行います。約1/60秒ということになります。
loop()を抜けると、またloop()の先頭から実行されます。

Arduino(3)続・カラーLCDを接続してみる

前回はArduino UNOにaitendoの2.4インチカラーLCD「UL024TF」を接続し、表示ができることを確認しました。

UL024TFには、このほかにmicroSDカードインタフェースとタッチパネルが組み込まれています。これで1,500円とは安いですね。

さて今回は、Adafruit TFTLCD-Libraryに付属している残りのサンプル、「rotationtest」「tftbmp」「tftpaint」を動かしてみます。

1.rotationtest

rotationtestは、その名の通り画像を回転表示するテストです。
回転といっても任意の角度ではなく、90度ずつ回転するだけですが・・・。

まずは試してみましょう。
前回同様、メニューから「ファイル」→「スケッチの例」→「TFTLCD-Library-master」で「rotationtest」を選択し、「→」ボタンでコンパイルしてArduinoに書き込みます。

このプログラムは、Arduinoがシリアルポートから何か受信するごとに表示を90度回転させるようになっています。
IDE内蔵のターミナルウインドウを呼び出しましょう。
「ツール」メニューの「シリアルモニタ」を選択すると、ターミナルウインドウが表示されます。

arduino013.jpg
arduino014.jpg

このプログラムに限らず、シリアルポートはArduinoとのほとんど唯一の通信手段ですので、エラー等を確認したいときはとりあえずシリアルモニタを呼び出してみるのが良いでしょう。

rotationtestでは、シリアルモニタの「送信」ボタンを押すと(文字は何も入れる必要なし)、Arduinoから0,1,2,3という数字が送られてきて、その都度表示が回転します。

表示の内容は
「ピクセル」→「斜線」→「縦横直線」→「矩形」→「塗りつぶし矩形」→「円」→「塗りつぶし円」→「テキスト」
の順で変化します。「ピクセル」は1ピクセルだけの描画ですので、よく見ないと見つからないかもしれません。

2.tftbmp

tftbmpは、microSDカードから画像を読み出してLCDに表示するデモプログラムです。
フォトフレームの簡易版と思えば良いでしょう。

このプログラムは、microSDカードから”woof.bmp”および”miniwoof.bmp”というファイルを読み出して、それをLCDに表示します。
microSDカードを用意し、TFTLCD-Libraryの「bitmaps」フォルダ(ライブラリ\ドキュメント\Arduino\libraries\TFTLCD-Library-master\bitmaps)に入っている”woof.bmp”と”miniwoof.bmp”をmicroSDカードへコピーして、それをUL024TFのmicroSDカードホルダへセットしてください。

tftbmpを実行すると、画像が表示されます。

arduino011.jpg

正直なところ画質は悪いです。このLCDは写真の表示には向いていませんね。

3.tftpaint

tftpaintは、その名の通りタッチパネルでお絵描きをするデモです。
このプログラムは、追加のライブラリおよび若干のプログラムの修正が必要です。

まず、以下からタッチパネルのライブラリをダウンロードし、IDEのライブラリに追加します。
ダウンロードからライブラリ追加までの方法は、前回の記事で書きました。

adafruit/Touch-Screen-Library · GitHub

次に、「スケッチの例」の「TFTLCD-Library-master」からtftpaintを開きます。

そして、以下のように修正を行います。

スクロールバーが上から1/4くらいの位置、赤い箇所を修正

//   D5 connects to digital pin 38
//   D6 connects to digital pin 39
//   D7 connects to digital pin 40

#define YP A3  // must be an analog pin, use "An" notation!
#define XM A2  // must be an analog pin, use "An" notation!
#define YM 9   // can be a digital pin
#define XP 8   // can be a digital pin

#define TS_MINX 150
#define TS_MINY 120
#define TS_MAXX 920
#define TS_MAXY 940

 

スクロールバーが下から1/4くらいの位置、赤い行を追加

    if (p.y < (TS_MINY-5)) { Serial.println("erase"); // press the bottom of the screen to erase tft.fillRect(0, BOXSIZE, tft.width(), tft.height()-BOXSIZE, BLACK); } // scale from 0->1023 to tft.width
p.x = map(p.x, TS_MINX, TS_MAXX, tft.width(), 0);
p.y = map(p.y, TS_MINY, TS_MAXY, tft.height(), 0);
p.x = 240-p.x;
p.y = 320-p.y;

 

以上の修正で、UL024TFのタッチパネルを使うことができます。
色を選択する以外、ほとんど何もできないお絵描きソフトではありますが、ちゃんと動きます。
画面最下部(USBジャック側)をタッチすると画面をクリアします。

arduino010.jpg

Arduino(2)カラーLCDを接続してみる

今回はArduino UNOにカラー液晶パネルを接続して、まずは表示ができることを確認してみます。

液晶パネルは、aitendoで1480円(税別)で購入できる「UL024TF」というカラーLCDシールドを使います。

arduino-012.jpg

この製品は、Arduinoに接続するためのピンヘッダが最初から基板に取り付けられています。
このような、Arduinoボードに接続できるように設計された拡張ボードは「シールド」と呼ばれています。

UL024TFは2.4インチのTFT LCDで、解像度は240×320ピクセルです。
microSDカードスロットも実装されています。
また、aitendoの商品説明では

※4線抵抗膜型タッチスクリーンが付いているが、接続が行われていないので使用できません

とありますが、少なくとも私の購入したものはタッチスクリーンを使用できました。

それでは、まずはPCをArduinoのプログラミングができる状態にしましょう。

以下のページからArduino用の開発環境(IDE)をダウンロードし、インストールします。

Arduino – Software

この記事を書いている2015年7月現在の最新版は1.6.5でした。
なお、インストール中に3回ほど、「このドライバをインストールしますか」と訊かれますが、もちろんインストールしてください。

arduino001.jpg

インストールが完了したら、USBケーブルでPCとArduinoを接続します。
IDEが正常にインストールされていれば、Arduino用のドライバが自動でインストールされるはずです。
デバイスマネージャで確認すると、Arduinoは「シリアルポート」として認識されています。

arduino001b.jpg

次にIDEを起動します。
まず最初に使用するボードの選択と、Arduinoのシリアルポートの選択が必要です。
これらは「ツール」メニューから選択できます。

arduino002.jpg
arduino003.jpg

そして、まずはLEDをチカチカさせる、通称「Lチカ」で動作確認です。
この例題は、最初からIDEに含まれています。
メニューから「ファイル」→「スケッチの例」→「01.Basics」→「Blink」を選択します。

arduino004.jpg

するとウインドウが開きますので、ウインドウ左上、「ファイル」メニューの下の丸い「→」ボタンをクリックします。
これで、あとは自動的にプログラムがコンパイルされ、Arduinoへ転送されます。
無事転送されれば、プログラムは勝手に起動し、ボード上の小さなLEDが点滅するはずです。

arduino005.jpg

普通は、このあとスイッチやセンサの読み取り、サーボモータの制御などの様々な例題にチャレンジします。
しかし、私自身はあまり興味が無いので省略します。
Arduinoで動く例題の解説は既にネット上に沢山ありますし、「Arduinoをはじめよう」といった書籍も出版されていますので、興味のある方はそちらを参照してください。

それでは、ともかくLCDをつないでみましょう。
使うのは先に書いたaitendoのLCD「UL024TF」です。

まず、このLCDを動かすには、IDEにライブラリを追加する必要があります。
ライブラリのダウンロード先は、

adafruit/TFTLCD-Library · GitHub

adafruit/Adafruit-GFX-Library · GitHub

の2つです。

いずれも、ページの右側の「Download Zip」ボタンでダウンロードします。

arduino006.jpg

ライブラリを追加するには、IDEの「スケッチ」→「Include Library」→「Add ZIP Library…」でダウンロードしたZIPファイルを指定します。
すると、ZIPファイルは展開されて「ライブラリ\ドキュメント\Arduino\Libraries」フォルダへコピーされます。

arduino007b.jpg

二つのライブラリを追加すると、IDEの「スケッチの例」メニューの中に新しい項目「TFTLCD-Library-master」が追加されます。
これでライブラリの追加は完了です。

arduino007.jpg

なお、ライブラリを手動で追加する場合も、フォルダを「ライブラリ\ドキュメント\Arduino\Libraries」へコピーすればよいようです。

Arduino – Libraries

次に、LCDをArduinoに取り付けます。
これは単にピン位置を合わせて押し込むだけです。

arduino008.jpg

きちんと取り付けられたら、USBポートでPCと接続します。

このとき、LCDのバックライトの電源が入るはずですが、何の変化も起こらなければ接触不良の可能性があります。
実は私の入手したものも、若干の接触不良箇所があるようで、パネルを指で押すと接続できたりできなかったりするという現象がありました。
テストするだけなら問題ないのでそのまま使っていますが、値段なりの品質ということかもしれません。

Arduinoが接続できたら、先ほど説明した「スケッチの例」→「TFTLCD-Library-master」から、「graphicstest」を選択してください。
そして、「→」ボタンでコンパイルしてArduinoへ転送します。

これで、LCD上でグラフィックスのデモが表示されるはずです。
(下のビデオは、同じデモを別のLCDモジュールで動かしていますが、UL024TFでも動作は同じです。)