ARMの開発環境「MDK」と「µVision」でmbedのデバッグを試してみた

夏休みもそろそろ終わりですが、最後にARMの開発ツール「MDK」とそのデバッガ「µVision」を試してみました。

ARM(が買収したKeil)はµVisionとコンパイラやライブラリその他もろもろのツールを合わせて「MDK Microcontroller Development Kit」として提供しているようです。
mbedのクラウド上で作成したコードも、MDK用にエクスポートすれば、ローカルでデバッグすることができます。

このとき、ボードがデバッグ用のインタフェース「CMSIS-DAP」をサポートしていれば、ボード上でコードを実行しながらステップ実行やトレースなどの操作を行うことができます。
幸い、私のボード「mbed LPC1768」はCMSIS-DAP対応のファームウェアが提供されていましたので、このデバッグ機能を試用してみました。

既に先人のレポートがネット上にありましたので、それを参照しつつ進めました。
参考にしたのは以下の2つです。

μVision4でデバッグ! | mbed
mbed LPC1768をMDK-ARMでデバッグ – Qiita

1つ目の記事はやや古く、2012年9月の日付です。文中ではµVisionのバージョンが4になっていますが、現在はバージョン5が提供されています。
2つめの記事は2016年1月のもので、1つ目の記事を参照しています。バージョン5を使う場合のはまりどころが記載されており助かりました。

やることは、大まかに言えば

MDKのダウンロード&インストール
MDK v4 Legacy Support for Cortex-M Devicesのダウンロード&インストール
mbed LPC1768のファームウェアをアップデート

が準備で、そのあと

・mbed用に書いたコードをローカル環境へエクスポート
・MDKのデバッガの設定
・コンパイルして実行

という流れになります。

準備のところは飛ばします。ダウンロードしてインストールするだけですので・・・
なお、MDKをダウンロードするとARMからMDKの日本語スタートアップガイドへのリンクが送られてきますので、メールアドレスはきちんと入力しましょう。

インストールができたら、まずはmbedのファイルをローカルへエクスポートします。
対象はとりあえず先日動作確認したLチカにしました。

右クリックメニューから、プログラムのエクスポートを選びます。

uvision01.png

ボードと開発環境の選択が出ます。
開発環境としてKeil uVision4を選んでおきます。
(後述しますが実際にはUVision5でも大丈夫なようです。)

uvision02.png

ダウンロードしたZIPファイルを展開すると、こんな感じになっています。

uvision03.png

.uvprojファイルをダブルクリックするとMDKが立ち上がります。

MDK v4 Legacy Support for Cortex-M Devicesをインストールしていないと、下図のようなダイアログが出ますのでインストールしましょう。

uvision04.png

プロジェクトを開いた画面はこのようになっています。
普通のIDEですね。

uvision05.png

まず、「Options for target…」をクリックします。

uvision06.png

そして、Debugタブの「Settings…」ボタンからデバッガの詳細設定に入ります。

uvision06b.png

詳細設定画面で、アダプタを「MBED CMSIS-DAP」に指定します。
また、Debugの設定で「HW RESET」を選び、「Stop after bootloader」をオンにします。

uvision10.png

これで準備完了です。
プロジェクトのリビルドボタンを押してビルドします。

uvision07.png

プロジェクトフォルダの中に.binファイルができますので、これをmbedデバイスのフォルダへコピーします。

デバッグは、ドコモのロゴを思い出させる虫眼鏡のアイコンをクリックします。

uvision08.png

ここで、上で説明した「Stop after bootloader」をオンにしていないと、「The CoreSight debug unit in the target device does not react.」とエラーが出てデバッグが終了してしまいます。
私の環境だけかもしれませんが・・・。

uvision09.png

デバッガが起動すればこんな画面が出てきます。
1行ずつのステップ実行などもできます。

uvision11.png

とりあえず動作までは確認できました。
無償版ではオブジェクトサイズが32KBまでという制限があるので、あまり大きなものは作れませんが、趣味で使うなら十分な気がします。

以下オマケです。

mbedからのエクスポートの際、UVision5も選択することができますので、やってみました。

uvision13.png

プロジェクトファイルを開くと、「LPC1700のパッケージが必要」とメッセージが出るので、インストールします。

uvision12.png

あとは基本的に同じです。
デバッガの設定も忘れずに行います。

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