音色パラメータから見たKORG Prologueとminilogue xdの違い

最近購入したKORG Prologueですが、以前から持っているminilogue xdと比べると、結構いろいろと違いがあります。

一般的には、

minilogue xdはPrologueと大体同じ音源で、同時発音4音(Prologueは8音か16音)になり、シーケンサーが付いた

という風に思われていると思います。

これで大体は正しいのですが、じゃあPrologueの音はminilogue xdでも大体再現できるのかというと、まあジャンルにもよりますが80~90%くらいでしょうか。

今回、両機種のMIDIインプリメンテーションの資料を読んで結構詳細を比較してみたので、差分についてメモとして書いておきたいと思います。MIDIインプリメンテーションの資料はKORGのサイトで公開されています。

今回の話の対象は、MIDIインプリメンテーションの中でも特に音色データに関する部分です。Prologueの音色データのデータ構造はMIDIインプリメンテーションの「TABLE 3 : PROGRAM PARAMETER」に記載されています。minilogue xdはMIDIインプリメンテーションの「TABLE 2 : PROGRAM PARAMETER」です。

単純に「切り捨てられた機能」としては、以下のものがあります。

・サブティンバー(2つの音色をレイヤーしたパッチを作成する。同時発音数は1/2になる)
・ボイススプレッド(発音ごとにパンをランダムに振る)

簡略化されたもので、一番影響が大きいのはエンベロープだと思います。

・PrologueはAMP EG、EG共にADSRだが、minilogue xdのEGはADしかない。
・PrologueはEGがデフォルトでCutoffにかかり、追加でピッチにもかけられるが、minilogue xdはCutoffかピッチかを選択しなければならず、両方にはかけられない
・EGをピッチにかける際の選択肢は、PrologueではVCO2/VCO1+2/ALLだが、minilogue xdではALL/VCO2で、VCO1+2だけにかけることはできない
・EGをピッチにかける際のインテンシティとピッチの変動幅の対応カーブが少し異なる(Prologueは線形の組み合わせ、minilogue xdは二次曲線)

LFOにも差分があります。ちょっと残念なポイントはこれ。

・PrologueのLFOはFastモードがあるが、minilogue xdのLFOにはFASTモードは無い

一方で、minilogue xdのLFOはワンショットモードがあり、第3のEG的な使い方をすることができます。

ボイスモードとアルペジエイターについては、minilogue xdではおそらくスペースの都合でパラメータが減っています。MONOモードの違いはベース音などのプログラムでは何気に結構影響があります。

・Prologueはボイスモードにmonoがあるが、minilogue xdはボイスモードchordの中の選択肢の一つにmonoがある
・PrologueのmonoはVoice depthでオクターブ上や下の音を出せるが、minilogue xdのchordにはオクターブ奏法が無い
・PrologueはボイスモードとARPが独立だが、minilogue xdのARPはボイスモードの一種。そのためmono+ARPといった組み合わせはできない。リリースタイムがある音色はARPでmonoが使えないと音が混ざるので注意が必要
・PrologueのアルペジエイターにはRANGE指定があり、アルペジオを複数オクターブに拡大することができるが、minilogue xdにはこのパラメータはない。その代わりレンジの異なるアルペジオパターンが用意されているが、自由度はPrologueのほうが大きい。ただしminilogue xdでは、シーケンサーを高度なアルペジエイターのように使用できる

あと、PrologueはフィルタセクションにLOW CUT(HPF)がありますが、minilogue xdにはありません。

SYNCとRINGについては、単純にminilogue xdのほうが上位互換です。

・PrologueはSyncとRingの一方を選択するが、minilogue xdは両方オンにすることができる

エフェクトも同様に、リバーブとディレイが独立したので上位互換になります。

・Prologueにはリバーブ及びディレイについてどちらかを選択するための「REV/DELAY=OFF/DELAY/REV」設定と、選択状況に関わらずそれらをオン・オフする「REV/DELAY=ON/OFF」という二つの項目があるが、minilogue xdはリバーブとディレイを両方使用できるので設定の翻訳が必要

リアルタイム演奏向けの機能は、minilogue xdでは若干弱くなっています。

・PrologueのWheelにアサイン可能なパラメータは32種、minilogue xdのJoystickにアサイン可能なパラメータは29種で並び順も少々異なる(欠けているパラメータ自体はPrologue特有のもので、minilogue xdでは不要)
・Prologueはエクスプレッションペダル対応だがminilogue xdは非対応。その代わり、ジョイスティックの下方向にパラメータを(上方向とは独立に)アサイン可能。ただし上方向と下方向を同時には使用できない

以上、Prologueとminilogue xdのちょっとマニアックな比較でした。

まあでも大体同じと言えば同じです。どちらがいいかといったら、単純に同時発音数でPrologueですね。
また、minilogue xdにminilogue xd moduleを足せば8音になりますが、minilogue xd moduleの操作系が無駄になってしまうので、私だったらPrologue-8を選びます。

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