Gumroadでソフトウェアを売ってみる


前回からの続きです。

NTS-1用のHoover Soundオシレータが完成したら、既存のユーザーオシレーターのリストに追加してもらおうと考えたのですが、このリストを眺めてみると、4割くらいが無料で2割くらいが寄付(ドネーションウェア)、残りが有料となっています。
意外と有料の比率が高いので、自分も試しに有料で公開してみようかと思い立ちました。

その時思い浮かんだのが、以前ちょっと興味を感じていたGumroadというサービスです。

Gumroadとは

Gumroadは少額決済にフォーカスした簡易版ECサイトと言えばいいのでしょうか。日本だとBoothなどで同人誌をダウンロード販売するサービスがありますが、それよりも小規模な金額(数ドル程度)の決済をイメージしている感じです。

決済はPayPalのほか、最近はクレジットカードも使えるようです。手数料はプランが何通りかあり、固定コストが安いプランでは販売1回あたり30セント+販売額の5%です。100円売ったら65円が入ってくる感じですね。

スマホのアプリストアと違うのは、Gumroadの主眼は決済機能であって、プロモーション的なことはほとんどしてくれないということです。売れるように宣伝するのは売り主にかかっている、というわけです。

収入が得られるのももちろん魅力ですが、金額的にはそれほど大きなものにはならなくとも、販売数が可視化されるので売れれば励みになる、という魅力もあります。

Gumroadのサービスが始まったのは2011年、日本語対応したのが2012年で、登場したときはニュースサイトなどでも結構話題になりました。
こういうサービス、面白いなと思って見ていたのですが、自分では売るものがないので手を出さないままになっていました。今回、ふと思い出して、この機会に試しに使ってみようと思った次第です。

ちなみに今では、同種のサービスとして、今ではSellfy、Selz、Sendowlといったサービスもあります。以下の記事は、これらのサービスの比較をしています。

3 Gumroad Alternatives: Start Selling for Free with AI
Discover e-commerce reinvented with AI-based Gumroad alternatives. Begin your free journey today with these powerful pla...

Gumroadで何かを売るために必要なもの

Gumroad自体は、普通のサービスと同じようにアカウントを作れば使えるようになります。

しかし、何かを売るとなると、GitHubにソースコードを公開するのとは違って、マニュアルや販売用のページを作らなければなりません。やったことがないので、結構大変でした。
しかも日本だけに向けて販売するのはやりたくない(潜在ユーザは海外のほうが遥かに多いはずなので)ので、すべて英語で用意する必要がありました。

用意すべきものについては、先人の体験を参考に、ということで以下のブログ記事を参考にさせていただきました。

【マーケティング】プラグイン販売で稼いだ際のレポート・一連の流れ – 01【開発から告知と告知用素材の作り方】 – 忘却まとめ
【マーケティング】プラグイン販売で稼いだ際のレポート・一連の流れ – 02【販売サイトの紹介と売り上げの振り返り】 – 忘却まとめ

その結果、(1)名前(2)説明書(3)告知用素材(4)動画 は必要だろうということで、それぞれ準備していきました。

名前

英語の名前を考えるのって、日本人には難しいですよね。
今回作ったものは、由来が「Hoover sound」と「alpha Juno」ですが、Hooverは(前回書きましたが)掃除機を作っている会社の名前ですし、JunoはRolandの登録商標です。これら2つの単語は名前には使いにくいですね。それで、Hooverを連想させそうな似た感じの語をいろいろ考えたのですが、ググってみるとHoovyやHooveeは既に存在しているなあ・・・ということで、いろいろトライした結果、最終的にHoovicという名前にしました。
Hoovicという単語は辞書には無く、人名ではHovik、Hovig、Høvikといった単語があるようです。

説明書

「簡単にHoover Soundを作れる」というコンセプトにしたかったので、前回紹介した「Dominator」という曲で使われているっぽい音を作るチュートリアルを作成しました。作成・編集に使ったのはGoogle Docsです。
英語で作る必要がありますが、会社の仕事なら業者に頼んでネイティブスピーカーにチェックしてもらうところですがそんなお金はないので、Google翻訳と、オンライン文法チェッカのGrammarlyのお世話になりました。
完成後に、英会話の勉強用に3月から加入したCamblyというサービスでネイティブの人に確認してもらいましたが、theの有無や単数形・複数形でちょっと修正が入ったくらいで、あとは基本的にはOKでした。

告知用素材

今回作ったものはオシレータなので、ビジュアル的なものは何もないわけですが、Gumroadの販売ページには何かしら画像がないと寂しいですね。

logue SDKのオシレータのページをいろいろ見て回ると、ロゴ的なものを作っている人が多かったので、私もとりあえず作成してみました。かなり、やっつけ仕事ですけれど・・・センスもない(汗)ですし。
このロゴは、Gumroadのページでは販売者のロゴとして使いました。製品ごとに作るのは、正直つらいので。

そして、Gumroadの販売ページ用には、一目でわかる超簡易マニュアル的な画像を作りました。説明書は作りましたが、たいていの人は説明書を読まずににいきなりぐりぐり動かすと思うんですよね(私もそうです)。
ですので、ぐりぐり動かしながら見られるように作ったのがこの画像です。

動画

シンセサイザーですから、音が聴けて操作の様子が分かる動画が必要だろう、ということで説明書とほぼ同じ内容の動画を作成しました。
操作している映像および出音を収録するのは、まあそれほど大した作業ではないのですが、何の目的でそれぞれの操作をしているのか、説明が必要なのは明らかです。

これまで、文字をかぶせて説明する動画は何度か作ったことがありますが、今回はナレーションにチャレンジしてみました。
英語でナレーションを作るのは初めてだったので、もう本当に大変でした。

台本は、前述のCamblyで音楽に詳しそうな人(説明書のチェックとはまた別の人)を見つけて文法チェックしてもらいました。

発音は、PCにマイクを接続して録音しつつ、同時にその音声をGoogle Docsの音声入力機能に入力して、意図通りに認識されるかどうかチェックし、そこそこ認識されたものを採用するようにしました。
YouTubeの自動生成の字幕を見ればわかる通り、まだ大分問題ある発音は残っているのですが、映像と一緒に見るならまあ通じるかなあというレベルです。

普段通っている発音スクールの先生に、発音チェックをしてもらう予定ですが、上のビデオは現状のバージョンです。

Gumroadページ作成

Gumroadで商品ページを作るのはかなり簡単です。既定のフォームに従って売りたい商品の情報を入力すると、商品ページが作成できます。ダウンロード販売の場合は、ファイルもアップロードしておけば購入者はGumroadからダウンロードすることができます(自分のサイトに飛ばすこともできます)。

値付けは、$1にするか$2にするか悩みましたが、下方向に余白を残して$2にしました。手数料が30セント+αかかるので、売値は$1が下限ですね。
感覚的には、スマホアプリみたいな値付けです。プロっぽいみなさんはPrologue/Minilogue xd用のオシレータを$10とかで販売されているのですが、私のものはNTS-1専用ですし、シンセサイザーのオシレータなのに波形が一切変えられないという制約つきなので、これくらいの値段が妥当かなと思っています。

商品ページができたら、自分のブログやホームページからそのページへリンクを張ってもいいし、JavaScriptによる「購入」ボタンのコードスニペットも提供されるので、それを使えばブログやSNSの中に購入ボタンを埋め込むこともできます。
この部分はとても面白いアイデアだと思います。

というわけで、とりあえず商品ページを公開したのでリンクを貼っておきます。
商品ページにはまだ最低限の情報しか載せていませんが、もうちょっと拡充しないといけないと思っています。

Hoovic: The hoover sound oscillator

売れるかどうかは全く見当がつきませんが、こういうのって初めてホームページを作ったり、初めてフリーソフトを公開したり、初めてYouTubeに動画を公開したときと同じで、それ自体ちょっとワクワクする楽しみがありますね。

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