Korg NTS-1でリサジュー図形生成用ディレイを作ってみた


オシロスコープ・ミュージックというものがあります。英会話の先生とシンセサイザの話をしているときに聞いて知ったのですが、電子工作&シンセサイザ好きの人間にはそそられるものがあります。

Oscilloscope Music Kickstarter (June 2015)

オシロスコープをX-Yモードで動かすと、X-Yプロッタと同じように、画面上に一筆書きの絵を描くことができます。これ自体はリサジュー図形としてよく知られていて、任意の絵を描けるので、以前には初音ミクの絵を出力している人もニコニコ動画にいましたね。

一枚の絵は波形一周期分ですので、音高は絵と無関係に変化させることができます。オシロスコープミュージックの人達は、図形から2つの音声信号(X軸用とY軸用)を生成するツールを開発し、かつその音を楽音として使えるようにしました。
つまり、オシロスコープに絵を描くことができる音で演奏もすることができるというわけです。

図形はBlenderから取り込むこともでき、動画に対応しているので、2Dだけでなく3Dのワイヤフレームの画像をオシロスコープに描画する音声信号を作ることができます。
このツールは34ユーロで販売されています。

Oscilloscope Music

Oscilloscope Music – (Drawing with Sound) – Smarter Every Day 224

とても面白かったので、これに触発されてNTS-1の音をリサジュー図形でビジュアル化してみたくなりました。それで作成したのが今回のディレイです。

仕組みは単純で、入力信号を右チャネルにはそのまま出力し、左チャネルには入力信号をわずかに(理想的には1/4波長)遅らせた信号を出力します。また、それ以外に左チャネルにサイン波または鋸波を出力して、入力信号波形を観察できるようにもしています。

次の動画は、NTS-1に標準で入っているVPMオシレータの音をこのディレイに通して、オシロスコープで可視化したものです。このオシレータはビジュアル的になかなか面白いです。

Lissajeous figure of Korg VPM oscillator

ちなみにVPMオシレータの出力はどのような波形なのかというと、以下のような感じです。

上の図はX軸の信号を鋸波にしているので、普通のオシロスコープで波形を見るのと同じです。
Y軸の信号をπ/2だけ遅らせた信号をX軸に入力すると、以下のようなリサジュー図形になります。波形パラメータをいじったりフィルターをかけたりして波形を変化させるとなかなか楽しいです。

このディレイには音楽的な用途での実用的な意味はほとんど無いですが、GitHubでビルド済みバイナリも含めて公開しています。

boochow/lissa: generate signal for drawing lissagous figure

使い方ですが、オーディオ入力から信号を取り込めるソフトウェアオシロスコープが必要です。
おすすめは、上記のオシロスコープミュージックが無料で配布しているオシロスコープエミュレータで、以下からダウンロードできます。

Oscilloscope

オーディオ入力から音声を取り込むには、マイクアイコンをクリックしてオーディオインタフェースを選択します。まぎらわしいのですが、マイクアイコンに斜線が入っているのが取り込み中の状態を表すようです。
他にも設定がいろいろありますが、上のビデオで使っている設定値を以下に示します。

NTS-1のオシレータはなんでもいいですが、まずミ(E)のキーを押してください。これは、このディレイのスイープ信号(左チャネル)の周波数が起動時に330Hzになっているためです。NTS-1のEキーはこれより1オクターブ低いのですが、整数倍なので画像が乱れずに済みます。

また、EGをOPENにすると、キーを押さなくても音が出っぱなしになりますので便利です。

次に、ディレイから「LISA」を選択します。NTS-1起動直後なら、これだけで何らかのリサジュー図形が表示されるはずです。
Bノブで図形のアスペクト比が変更できます(X軸の振幅サイズが変化する)。
あとはフィルタや波形をいじって図形の変化を楽しんでください。

追加機能として、DELAYボタンを押しながらBノブを回すと、スイープ信号を選択できます。
ノブの左端を0、右端を1.0とすると、0.4~0.6はリサジュー図形で、0.6~1.0がスイープ信号が鋸波(普通のオシロスコープ)、0.0~0.4がサイン波(1周期分の波形を円筒状につなげた形)となります。

スイープ信号が鋸波やサイン波のときは、スイープ信号と入力信号が同じ周波数になっている必要があります。この調節はAノブで行えます。実際にヘッドホン等で音を聴きながら調節すれば、それほど苦労はしないと思います。

Aノブは0~127までステップで変化するようになっていて、その値はMIDIノートナンバーに対応しています。スイープ信号の周波数はMIDIノートナンバーに対応していますので、入力信号が楽音であるかぎりは必ず周波数が一致するポイントがあるはずです。

また、このモードではDELAYボタン+Bノブでスイープ信号の位相のオフセット値を変更できますので、波形を横方向にスクロールさせて観察することができます。

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