αJunoも、他のJuno同様にノイズを音源にすることができます。
下図がαJunoのノイズの波形です。
これを見ると、Juno-106までと異なり、αJunoではノイズもデジタル方式になっているようです。
1と0がランダムに出力された波形になっています。
もう少し拡大して見てみると、パルスとパルスの最短の間隔は42.5μsecくらいでした。
つまり、23.5KHz以下の様々な周波数の矩形波を切り替えながら出力しているということになります。
デジタル回路でノイズを生成する方法としては、M系列というホワイトノイズに近い数列を生成できるLinear-feedback shift register(LFSR)という方式が有名なようです。
実際のところαJunoでどのような方式が使われているのかは分かりませんが、おそらくLFSRを使っているのだろうと思います。
ちょっと脇道にそれますが、以前スペースインベーダーのサウンド生成を調べた際も、ノイズはシフトレジスタで生成されていました。
その回路は4006という18段のシフトレジスタを使っており、下図のような構成になっています。
ちょっとわかりにくいですが、シフトレジスタをD5→Q9→D1→Q4→D10→Q13→D14→Q17という構成で接続しています。
これを書き下すと次の図のようになります。
LFSR的には、
X^17 + X^5 +1
という多項式になるようです。
さて、このノイズも含めると、αJunoのDCOは
・矩形波(3種)
・鋸波(5種)
・1オクターブまたは2オクターブ下の矩形波(6種)
・ノイズ
の4つを足し合わせた波形を出力できます。
中でも有名なのが「Hooverサウンド」でしょう。(ビデオでは2:30あたりから)
この音の元になったのは、ファクトリープリセットにある「What the」という音色のようですが、これは
・PULSE3(PWMありのPULSE)
・SAW3(PWMありの鋸波)
・SUB6(2オクターブ下のデューティ比25%の矩形波)
・NOISE
を足し合わせています。
フィルターやエンベロープ無しの素のDCO出力の音はこんな感じです。
波形を見てみると以下のようになっています。
1DCOとはいえ、ずいぶん複雑な波形になっていますね。
なのになぜか音は不思議とあっさりしています。
これはαJunoの独特な持ち味のように思います。
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