Drumlogueには、ディレイとしてステレオ/モノラル/テープディレイが含まれていますが、prologue/minilogue xdには含まれていたコーラス、フランジャー、フェイザー、アンサンブルは搭載されていません。
コーラスはシンセサイザの音を加工するのに便利ですし、フランジャーはノイズ系の音に音程感を追加できるのでパーカッションの加工にも向いています。というわけでこの2つを合わせたディレイユニットを作ってみました。
コーラスとフランジャーは、フィードバックの量や遅延時間が異なりますが、いずれも遅延時間の小さいディレイの一種です。遅延時間の小さいディレイは以前実装していますので、これをベースに実装しました。
フランジャーは、コムフィルタの遅延時間をLFOで揺らしたエフェクトです。遅延時間は概ね最大20msec程度で、これより長くなるとコムフィルタの基本周波数が50Hz以下になってしまいます。
コーラスは、ディレイの読み出し速度を通常よりも微妙に速く、あるいは遅くすることによってピッチの揺れを生み出し、それを元の音声に加えます。読み出しを速くしたまま、あるいは遅くしたままではすぐにバッファが破綻してしまいますので、速い読み出しと遅い読み出しを一定周期で切り替えます。つまりLFOで揺らします。コーラスの遅延時間はフランジャーよりもう少し長く、5msecから50msecくらいまでです。
コーラスもフランジャーも入力信号に無いピッチを生み出しますが、そのために用いるLFOの信号を左右のチャネルで反転させると、左右のピッチをずらすことができます。これによって、ステレオ的な広がりを作ることができます。
コーラスにもフランジャーにも、ついでに普通のディレイにもなるという、1粒で3度美味しい?ディレイを目指して作ったのがDelay Labです。ブロック図は以下のようになっています。
ピンポンディレイも実現したかったので、クロスフィードバックを追加しています。パラメータ的には、普通のフィードバックとクロスフィードバックの比率を0%~100%まで変化させられるようになっています。なおフィードバックの先に書いてある矩形波のような記号のある箱は、フィードバックが大きくなりすぎて破綻しないためのクリッピング処理です。
入力信号は左右に同じ信号が与えられるので、左右の差を出すためにパン設定も追加しています。Drumlogueは、パンは個々の楽器ごとに設定できますが、その設定したパンはエフェクタの入力には反映されません。どうも下図のような構成になっているみたいです。
つまり、ディレイやリバーブの入力に対してパンを設定したかったら、それはユニットの内部で設定する必要があります。
また、通常のエフェクタではよくあるドライ/ウエットの比率調整も直接は行えません。ドライ信号は図の一番上の経路で流れていきますので、ドライ/ウエットではなくウエットの量(ディレイ/リバーブの出力)だけが設定できます。もちろんユニット内でドライ/ウエットをミックスすることはできますが、上の経路を通るドライ信号が別に存在していますので、ドライ信号の比率を50%以下にすることはできません。
他にもいくつか引っかかった点がありましたが、ちょっと長くなったので別の記事にします。
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