Analog Discoveryのロジアナ機能を使って、αJunoのCV信号を観測してみました。
αJunoでは、VCAやVCFの制御信号は時分割でDACで生成して各チップに出力しています。
Roland αJunoのDCO(3)で触れたJuno-106の制御信号と基本的には同じ回路です。
この部分の回路は下図のようになっています。
DACの出力が2つのチップ(4051とNJM7032)へ入力され、同時に5本の信号線が2つのチップを制御します。
DI0、DI1で2つのチップのどちらかを指定し、DC0~DC2の3ビットがチップのどのピンにDACからの信号を出力するかを指定しています。
S/H部分は、VCF CVを担当するNJM7032はコンデンサとバッファを内蔵していますが、VCA CVを担当する4051のほうはバッファは使わずにコンデンサだけで済ませています。
バッファがなくて大丈夫なのかと疑問に思いましたが、信号の行き先であるIR3R05(ローランドのVCF/VCAチップ)との間に入っている抵抗アレイの抵抗値(Pin3~Pin10間)を測定したところ、3.25MΩとかなり高い抵抗値でしたので、コンデンサがすぐ放電することはなさそうです。
Analog Discoveryはオシロスコープとロジックアナライザを同時に1画面で動かすことができるので、上の回路図のTP3でDAC信号をオシロで観測しつつ、ロジックアナライザをDC0~DC2に接続して出力ポートの指定の様子を見てみました。
αJunoのメンテナンスマニュアルには、下図のようにこの部分の解説も掲載されています。
4msecの間に、16種類の値を伝送しています。
図の上の2行の数値が、出力ポートの指定を表し、最下行がデータの内容を表しています。
例えば、IC12 Enableで出力ポートの指定が0なら、DACの出力は音源AのVCFのCVを表します。
ちなみに、Juno-106では次の図のように、鋸波発生用のCVやノイズレベルなど合計24種類の値を4.2msecの間に送信していました。
αJunoではDCOの鋸波発生用のCVはDCO内で生成しているので、信号の種類は減っています。
さて、実際にロジアナで取得した値を元に、DACの出力信号を推測したのが次の図です。
基本的にはメンテナンスマニュアルの記載と一致していますが、後半部分でIC11とIC12の順番が入れ替わっていました。
マニュアルでは、
VCF-CV-C → VCA-CV-A → VCF-CV-D(以降もVCA→VCFの順)
という順序になっていますが、実際には
VCF-CV-C → VCF-CV-D → VCA-CV-A(以降もVCF→VCAの順)
となっています。
ちなみに、静止画だとわかりませんが、CHORUS LFOの値は時間の経過に従って増えたり減ったりしています。
信号が直接観測できるのは、やはり楽しいですね。
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