アナバスオーディオAA-001の分解

アナバス・オーディオは日本の太知ホールディングスのブランドで、CDクロックラジオや近年ではレトロなデザインのレコードプレーヤーなどの製品を販売しています。その中の一つであるAA-001は、CD/FM/AM/USBメモリの再生が可能な2.1chの一体型オーディオで、直方体の形状をしています。

CDクロックラジオシステム AA-001 – ANABAS audio|太知ホールディングス
アナバスオーディオ イージーリスニングモデル
高級感あふれるデザインと圧倒的な高音質が両立する、アナバスインテリアオーディオ。本体に100曲の音源を内蔵したユーキャン限定の特別仕様。送料当社負担でお届け。

AA-001はANABAS audioの製品の中では比較的メジャーな製品です。定価は4万円くらいのようですが、中古品ならメルカリやヤフオクなどで1万円前後で入手できます。

音質的には、低音の量感はありますがドンシャリ型の音でもなく、リビングの片隅にでも置いてBGMを流すにはなかなか具合が良いです。両サイドの9cmフルレンジスピーカーはわずかに前面に傾けて取り付けられていますが、ステレオ感はあまりありません。底面の10cmのウーファーは、本当の低い周波数が出るわけではなく、低音の量感を強調している感じです。

いわゆるオーディオマニアの方には向いていませんし、仕様的にも、Bluetooth対応でもなくスマホとも無縁で操作はリモコン、というわけで若干レトロな感じは否めません。シンプルな使い方、バランス良く安定感のある音質、それにコンパクトさが取り柄です。

私は2台所有していて、この製品の内部はどうなっているのか、改造は可能なのか?等、ちょっと関心があったのですが、分解したり改造している情報は見当たりません。今回、動作不良のジャンク品を格安で入手できましたので、ちょっと分解してみました。

底面のゴム足を取り除くと、ネジが現れ、これを外すと底面の台を外せます。

リモコンの受光部です。接着されていますので取り外せません。

8つの黒いネジを外すと、ウーファーを取り付けているバッフル板を外せます。

バッフル版、ウーファー、パワーアンプ、トロイダルトランスが一体となっています。

電源トランスです。14V-0V-14V、1.5A、6V 1.5Aです。
6VのほうはUSB電源供給用かもしれません。

パワーアンプの基板です。大型の電解コンデンサは35V6800μFが2本です。

パワーアンプの基板裏面です。
この基板は、CDプレーヤー側にあるロジックボードと背面の入出力端子との、中継役も担っているようです。

パワーアンプICはSTMicroのTDA7265です。
2個使用されています。1個はウーファー用かもしれません。

左右のスピーカーボックスとバスレフポートです。
2つのスピーカーボックスを橋渡した金具がバスレフポートを固定しています。

左右のスピーカーボックスは密閉されています。



背面の端子のユニットは6つのトルクスネジを外すと取れます。


ユニットの裏面からネジを外すとパネルが外れます。
ユニット内は基板にジャックが並んでいるだけで、機能部品はありません。

上部のCDプレーヤーユニットは、ネジ4本を外すと取り出せます。
ネジを外すのにCDプレーヤーの蓋が邪魔になりますが、開きすぎて壊してしまいました。

蓋は写真のような薄い突起で本体側の受け手にはまっています。本体側の受け手は正面に向かって左側はたわみやすく、右側はたわみにくくなっています。そのため、まず左側を外してから右側を外すのが良さそうです。



LEDマトリクスの表示ユニットです。


AA-001は電源を入れていないと木目調の箱に見えるのですが、電源が入るとLEDマトリクスの光が木目から浮き出てきて見えるようになっています。どういう構造になっているのか不思議だったのですが、分解してみたら分かりました。

筐体自体はMDF板を貼り合わせて作られており、上から木目調のシールを貼ってあります。筐体の前面は、木目シールを直接貼るのではなく、MDF板の上に薄い透明のプラスチック板を貼り、その上から木目調のシールを貼ってあります。

そして、前面のMDF板はLEDマトリクスの部分に穴が開けてあります。

つまり、木目調のシールの下に透明なプラスチック板、その下に表示窓を開けたMDF板、その表示窓にLEDマトリクス、という構造になっているようです。プラスチック板をはめ込んだ部分は、触っても全く段差を感じない完ぺきな加工です。

操作パネル部分は、タクタイルスイッチを並べてあるだけです。

CDプレーヤーの真下にAMラジオ用のアンテナがあります。FMラジオ用のアンテナは、中央の白いケーブルで、筐体の角に沿って底面近くまで伸びています。

CDプレーヤーの裏面にあるロジックボードです。(クリックでフルサイズのイメージが見られます。)

右下のチップはALiのM5673D-A1です。このベンダはDVDドライブ向けなどのチップを作っているようですので、おそらくCDプレーヤーやUSBメモリのファイルを読みだして音声信号を出力する等の処理はこのチップが担っているのではないかと思います。
その上のチップはEtronTech EM636165TS-7Gとあり、16MbitのDRAMです。

中央のチップはAMTek AM5888SL/Fとあり、CDドライブのモータ制御プロセッサのようです。チップ右側のケーブルがCDドライブのモーター、下側のケーブルがピックアップに接続されています。
左上のチップはPTC PT7314とあり、これは音量制御などのオーディオプロセッサです。
左下のやや小さいチップはC&A CA6817Fとありますが、何を行うものか不明です。その下のケーブル類は上面の操作ボタンに接続されています。その左側のコネクタはLEDマトリクスへ向かっていますが、6ピンしかないので実際のLEDの表示制御はLEDマトリクスモジュール側で行っていると思われます。

分解した結果を模式化すると、内部の構造はこんな感じです。(側面から見たところ。右側が前面)
全体的にはコストを考えつつも、なかなかしっかり作られているなあという印象です。

筐体は木材ではなくMDFにシールを貼っていて、安っぽいといえば安っぽいですが、頑丈に作られています。CDプレーヤー部分は内部で仕切られてスピーカーボックスとは独立しています。
スピーカーボックスはウーファーをきちんと鳴らすことを主眼に設計されているようです。バスレフポートもしっかり固定され、底面のバッフル板に取り付けられた重い電源トランスは制振の効果もありそうです。

音質はスピーカーの箱とスピーカー、パワーアンプで8割以上決まってしまいますので手を抜かず、CDプレーヤーとデジタル部分はそこそこ、という感じです。ネット上の情報を見ると、アンプに用いられているTDA7265は、一世を風靡したデジタルアンプTA2020よりも高音質という評もありました。デジタル部分はネット配信やBluetooth対応など、もう少しモダンにしてほしい気がしますし、時計もバッテリーバックアップが欲しいですが、CDプレーヤーと一体になっているので部分的なアップグレードは難しそうです。

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