NTS-1(初代)をLFOにしてみた

KORG NTS-1 markIIには、初代に無い機能として「オーディオ入力をオシレータから触る」ことができます。初代では、入力信号にエフェクトをかけたりはできましたが、オシレータから触ることはできませんでした。

--エフェクトの一方、オシレータは従来のままですか?
三浦:オシレータに関してはGitHubなどにユーザーが作ったオシレータが数多くあるので、種類を増やすより、根本部分を変えてみたんです。具体的には本体の信号をオーディオインでモジュレーションできるようにしました。だから、たとえば従来のNTS-1を持っている人がその出力をNTS-1 mkIIに突っ込むことでモジュレータとして使うことが可能になりました。
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NTS-1 markIIにデフォルトで入っているオシレータのうち、SAW/TRI/SQR/VPMは、オシレータそのものは初代NTS-1と同じですが、入力信号で変調する機能が追加されています。変調方式はFM、AM、リングモジュレーションが選択できます。この新機能はシンプルながら面白いと思うのですが、音作りに使うには、LFOやEGでオシレータを変調する方が一般的で、入力信号が可聴域の信号だと、モジュレーションで何が起きているのか把握しにくいことが多いです。

そこで、NTS-1(初代)をLFOにするオシレータを作ってみました。このオシレータは、普通のオシレータが発音する周波数の1/100の周波数の音を出します。この比率はノブAで1/100~1/1まで変更できます。また、ノブBで1/1の音(通常の音)とミックスすることもできます。

波形生成はエイリアスを全く考慮しないナイーブな方式で行っています。この記事でやっているのと同じやり方です。波形はパラメータで選択可能です。

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という簡単なオシレータですが、FM変調をかけるとかなりノイジーな音になって、なかなか楽しめます。いわゆるFM音源は、キャリアとモジュレータの周波数比率が整数倍のことが多いですが、このFM変調はそういうものではなく、可聴域までスピードが上がる高速LFOでオシレータのピッチを変調するシンプルなモジュレーションになります。綺麗な音を作るのは難しいですが、綺麗な音に飽きているときにはこういうのも結構良いものです。

コードは以下で公開しています。NTS-1用バイナリはリポジトリのReleasesにあります。

GitHub - boochow/LFO-OSC: low frequency oscillator for NTS-1
low frequency oscillator for NTS-1. Contribute to boochow/LFO-OSC development by creating an account on GitHub.

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