Sequential Circuits TOMの電源修理


このところあまり余裕がなく、大分ブログの更新の間が空いてしまいました。

先日オークションでSequential社の TOMと言うドラムマシンを入手しました。

SequentialといえばProphet-5などのアナログシンセサイザーが有名ですが、TOMは1985年に発売されたPCM方式のドラムマシンです。

ジャンク品で電源ユニットが欠品していましたが、自作してどうやら動作するようになりました。

このTOMは、回路図も載っているメンテナンスマニュアルがインターネットで入手できます。
電源部分はトランスで降圧して整流し、平滑化して3端子レギュレーターへ渡すという典型的な構成で、5V、−5V、-12Vを生成しています。

今回欠品していたのはトランスです。
米国では補修部品も出回っているようですが、かなり高価です。

SequentialCircuits.com
Power adapter, 16VAC, 2.5A – Syntaur

回路図ではトランスはセンタータップ付きの15V、1.25Aの指定となっています。
レギュレータの出力が12Vと5Vで、レギュレータでの電圧降下分が少なくとも2Vは見込む必要がありますので、センタータップ付き14V(7V-0V-7V)以上のトランスが必要となります。
インターネットで検索してみると17V 1Aのトランスが使われている場合もあるようです。

Photos et images Sequential Circuits TOM – Audiofanzine

指定の仕様ピッタリのトランスは見当たらず、入手しやすいトヨズミのHT162を使用しました。
これは16V 2Aのトランスで、8Vのタップも出ています。
16V 1AのHT161もありますが、残念ながらこちらは8Vのタップが出ていませんでした。

厳密に言えば、8V-0V-8Vというセンタータップつきのトランスと0V-8V-16Vのトランスは完全互換ではなく、後者は0V-8V間と8V-16V間の電圧が微妙に異なる場合があるそうです。
ですが、今回の回路では問題なさそうです。

菅野電機研究所のSP-161という製品が16V 1Aで8Vタップがあり、丁度良さそうだったのですが、残念ながら菅野電機研究所は2017年5月に廃業したようです。(現在、ネット通販ではまだ在庫がある店舗もあるようです。)
「S.E.L.」という黄色のロゴマーク、かつて秋葉原ではよく見かけていたので寂しいことです。

本体とトランスとの接続は、3本の線が必要になりますが、これには6ピンのDINプラグが使われていました。
千石電商で「マル信無線電機 MP-016」を入手しました。

ケーブルは3芯のものが必要です。意外と見つかりにくく、ようやくマルツで良さそうなのを見つけました。

ビニルキャブタイヤコード 灰 3芯 0.3sq VCTFハイ0.3SQX3CRの通販ならマルツオンライン

プラグとの結線情報はこちらにありました。
この結線情報は回路図とピン番号が違っていますが、要は以下の写真のような配線になります。

DINプラグは、金属部分が二つに分離でき、中身の端子を取り出して半田付けします。

トランスにこのDINプラグとACケーブルを接続し、TOMにつないでみると無事動作しました。
トランスのAC側にはヒューズを入れるほうが良いのかもしれませんが、今回は省略です。

ちなみに、下の写真はメーカー製のACアダプタ(ローランドのBRB-100)の中身ですが、やはり単にトランスに結線されているだけでした。

【2019/9/2追記】
トランスを裸のままにしておくわけにもいかないので、プラスチックケースを探したのですが、意外とぴったりくる製品が見つからず、ダイソーで買ってきたプラスチックの保存容器に入れました。


使っているブッシングはサトーパーツのBU-3270-BBU-687-Aです。

コメント

  1. yusuke.F より:

    私の、技量不足によりこの通りに制作してみましたがなかなか上手くいきませんでした、、トランスが異様に発熱するだけで、通電せずで。。恥ずかしながらコンセント部の推奨などあればご教授頂きたいです。

  2. boochow より:

    トランスが発熱するのはたぶん配線ミスだと思いますが、非常に危険な状態で火事になる可能性がありますので、とにかくコンセントに接続しないで下さい。

    コンセント部の推奨ということですが、その部分に他人のアドバイスが必要な状態でしたら、申し訳ありませんが製作されないのが良いと思います。

    せっかくチャレンジされたのに残念ではありますが、とにかく安全第一です。