KORG logue SDKがバージョンアップされ、新たにMicroKORG2がSDKでサポートされました。また、長らく実験段階だったWeb simulatorがSDKのメインブランチに統合されました(現状、サポートされているのはNTS-1 mkIIとNTS-3だそうです)。そして、KORG公式のdiscordサーバが開設されました。
An update on the status of logue-sdk from Korg
byu/xiashj inLogueSDK
私はMicroKORG2は現時点では持っていないのですが、logue SDKのMicroKORG2版は気になるので少し調べてみました。
MicroKORG2用のSDKのMakefileを見ると、CPUアーキテクチャはdrumlogueと同じcortex-A7となっています。上のRedditの書き込みを見ると、MicroKORG2とdrumlogueは同一のCPUが使われているとのことです。Makefileに関しては、drumlogueのそれと大きな差分は無いようです。
ただしAPI全体としてはNTS-1 mkIIに近く、drumlogueとは大分違います。
・オシレータ、モジュレーション、ディレイ、リバーブをユーザが作ることができますが、drumlogueのSynthユニットやNTS-3のgeneric FXユニットはサポートされません。
・ユニットの種別ごとに利用できるメモリの細かい制約があります。ユニットのそのもののサイズ上限はNTS-1 mkIIと同じですが、CPUアーキテクチャが異なるので両者で同じものが必ず動作するとは限りません。
・パラメータの個数は他のプラットホームとは違っています。おそらくMicroKORG2のユーザーインタフェースに合わせたのだと思われます。
・OSCの出力はサンプルコードを見る限りではステレオ出力になるようです。また、discord上の書き込みによると、現状、OSCの入力に音声信号は供給されないようです。
・新たにOSCでSDRAMが利用可能になりました。一方、MOD/DELAY/REVERBで使えるSDRAMの上限値はNTS-1 mkIIよりも減っています。
以上をNTS-1 mkIIとの比較でまとめると以下のようになります。

【2025/10/11追記:パラメータの個数を修正しました。MK2のFXには普通のパラメータの他にFixedパラメータ(Time、Depth、Mix)があるのかと誤解していましたが、実際にはFixedパラメータの個数も普通のパラメータの内数に含まれているようです。NTS-1 mkIIのパラメータ数にもFixedパラメータ(ShapeやTimeなど)を含む形にしました。】
機能面ではいくつか追加があるようです。
・drumlogueでは提供されるライブラリが少なかったのですが、MicroKORG2は他のプラットホームとかなり類似したライブラリが提供されています。また、common/utilsにいくつか新しいヘッダファイル/関数が提供されています。
・note_on、note_off、pitch_bend、channel_pressure、aftertouchなどのAPIは削除されたようです。もともとこれらはdrumlogueのSynthユニットのAPIを引きずっていた感触もあったので、妥当なところかと思います。なおトリガ信号については、ランタイムコンテキストから情報が取れるようです。
・旧logue SDKでは、LFOをShapeかPitchにしかかけることができず、ShapeにかかるLFOの情報が取得できるようになっていましたが、MicroKORG2ではLFOの情報が無いようです。モジュレーションは本体側で全て制御する想定なのかもしれません。もちろん独自にLFOを実装することは可能です。【2025/10/11追記:オシレータは最大8音ポリで発音する必要があるため、モジュレーションの情報を配列で渡すAPIがあるようです。もう少し調べて別記事にしようと思います。】
・OSCに対するShapeとAlt、エフェクタに対するTime/Depth/Mixといった、特定の入力デバイス(ノブ)に紐づいたパラメータは無くなり、NTS-3同様に全て単なるパラメータになったようです。MicroKORG2ではパラメータの変更方法(ノブで設定する・LFOで変更する・エンベロープで変更する等)はパッチ側で設定可能なので、特定のパラメータを特定の変更方法に紐づける必要は無いですね。
とりあえず気づいたのはこんなところです。Webシミュレータの正式版についても試してみたいところですが、ここは今手掛けているPure Data関連が一段落してからですね・・・。


コメント